自由体操~人生は体操だ。

心がけるだけでだるさも痛みも運動不足もぜんぶ解消

頭の自由体操「人生の差法」④ ~ ナンセンスでリラックス

無意味な差法の心理学的意味

「差法」のあまりの無意味さに驚かれたでしょうか。
実際にやってみた方は、その意外な効果に二度びっくりしたでしょう。
目の前の対象に「差法」をすれば脳は突然リラックスします。
あまりの「無意味」さに脳があきれるからです。
脳があきれると、そこに気持ちよさが生まれます。
かつて、赤塚不二夫という漫画家がいました。
赤塚不二夫の「天才バカボン」という漫画はいつも、バカボンのパパの決めぜりふ「これでいいのだ」でオチが付きます。
「天才バカボン」のこの「可笑しみ」は「ナンセンス・ギャグ」と呼ばれます。
「ナンセンス」とは「無意味」のことです。
「ナンセンス」はばかばかしいのです。
でも、それでいいのです。
無意味なことを見たり考えたりすると気分転換ができます。
心理療法では、なんらかの「気晴らし」で気分転換することを「注意転換法」と呼びます。
差法も「気晴らし」です。
脳に瞬間的に効く「注意転換法」です。
「差法」は「二つの差を思う」だけです。
「真ん中法」は「その真ん中あたり」をただ思うだけです。
いつでも、どこでも、だれでも、できます。
紙もペンも要りません。
考えるだけです。
〈「無意味」を考える〉
それは「無意味」ではありません。
心理学的にも「落ち」があります。

 

「差法」で脳をだます。しかし、脳は意外に

自分の「ものさし」で測ると「AとBの差はこれだけです。だから真ん中はこのへんです」
「差法」の「真ん中法」は、頭の中で一瞬でそれを思います。
この「ものさし」は自分勝手な「ものさし」です。
言い換えれば「こじつけ」です。
無意味なこじつけなのですが、脳は論理的思考を行ったと判断し満足します。
〈真ん中はそのへんか、なるほどね〉
脳は無意識にそう納得しています。
「差法」は究極かつ瞬間的な自問自答です。
Q.真ん中はどこか?
A.真ん中はそこだ。
そして、毎回必ず正解です。
「差を取って真ん中あたりを考える」
それは「わかってみる」という行為です。
わかる必要もない無意味な現実について勝手に「ああ、そこが真ん中へんね」と認識して、わざわざ「わかってみる」のです。
「わかる」が「腑に落ちる」なら、「わかってみる」は「腑に落とす」です。
脳は「わかる」が大好きです。
脳にとってみれば、「わかる」も「わかってみる」も同じです。
脳は「だまされやすい」などと言いますが、このへんもやはりおおざっぱです。
でも、「真ん中法」、つまり、「5対5」の代わりに「6対4」や「7対3」でやると、あまり爽快感が得られません。
脳は「そこはホントに7対3かなあ?」とすんなり納得しません。
脳は、そんなところには意外に厳密なようです。

 

超基本的なセルフコントロール

脳は「わかる」が大好きです。
一方、「わからない」が大嫌いです。
「わからない」という心理状態はそれ自体がストレスとして認識されます。
現代社会は「わからない」ことだらけです。
未来が「わからない」不安は、うつ症状の大きな原因です。
うつ症状になると、日常のほとんどすべてが「わからない」状態になります。
だからこそ、「わかってみる」が効きます。
「差法」を使えば、日常の些細な出来事はすべて「差」で認識され、真ん中あたりが「わかります」
ある程度重いうつ症状でも「差法」なら「やってみる」可能性と価値があります。
しかし、「差法」はメンタルが正常な人にも良く効きます。
「差法」は誰にでも効きます。
うつ症状に悩む人が「差法」を行えば、思考の「凝り塊」をほぐすことができます。健康な人が「差法」を行えば、視野が広がり発想が豊かになります。
あるいはまた、怒りをやわらげたり、よろこびをふくらませたりと、気分をコントロールすることもできます。
たとえば、なにかいいいことがあったときに(給料が少し上がった)、そのうれしさと、もっといいこと(ボーナスが倍になった)の差を取って、真ん中あたりのうれしさを思います。
すると、そんなのただの想像なのに、給料が増えたことのうれしさが少し増します。
ボーナスは実際に増えてなくても、「真ん中はどこ?」の問いに「このくらい」と適当に思うだけで「自問→自答→正解→スッキリ」の効果が現れます。
すると、うれしさが増します、
無意味でばかばかしい想像なのですが、だからこそ脳は動かされます。
いつでもどこでも、いいかげんに頭と心を動かし、意識をずらす。
それだけです。
「差法」も「真ん中法」もただ心がけるだけです。

 

「自由に動かす」は意外と難しい

 体を動かさないと、関節や筋肉は固くなります。体が固くなると血の巡りが悪くなり、老廃物が溜まりやすくなります。すると、疲れが溜まりやすくなり、老化も早く進みます。しかし、毎日少しずつでもストレッチや柔軟体操を続ければ、固くなった体も必ず柔らかくなるのです。私はそれを実感しました。
動かさないと固くなる。
それは、頭も心も同じです。
体と同じように、頭も心も動かさないと気分や意識が固まります。
心を動かさない、というのは、変化に乏しい日常に感情が埋没してしまっているような状態です。
毎日が意味もなくただ過ぎていく感じ、とも言えます。
頭を動かさない、というのは、知的好奇心や向上心を失い、物事の本質を考えたり比較したりしない状態です。
いずれにしても単に現状を受け入れている、あるいは、受け入れたくない現状を受け入れている、状態です。
そういう毎日を送っていると、心が固まり、考え方が悪い方に向かい、マイナス思考になります。すると、ストレスが溜まりやすくなり、気持ちが落ち込みます。
この固まった心を解きほぐす頭のストレッチが「認知の体操」です。
「認知の体操」は心の柔軟体操です。

クイズやパズル、なぞなぞは「頭の体操」です。
「認知の体操」は、もっとずっとやさしい「頭の準備体操」です。
「認知の体操」の基本が「差法」です。
「頭の準備体操」ですから「考える」「思う」だけです。
「差法」は、ノートの罫線のようなちょっとしたガイドです。
白紙に文字を書くのは意外に難しいものです。
でも、罫線があればずっと書きやすくなります。
「差法」も同じです。
突然、なんでもいいから自由に考えてください、と言われても、心に自由な「なにか」を浮かべることは容易ではありません。
でも、差法という「ものさし」があれば「考える」「思う」は急にかんたんになります。この「ものさし」を当てればなんでも「自由に」測り、比べることができます。
(つづく)